「サイバーセキュリティ」と聞くと、ハッカーのような、少しアンダーグラウンドな世界をイメージする人が多いかもしれません。
でも実は、サイバーセキュリティは日本でもアメリカでも人材が足りていない、今注目の分野です。留学兄さんケイはこれまで、「アメリカで就職したいなら、会計かIT系(コンピューターサイエンス)でないとほぼ残れない」と伝えてきました。そこに、新しい選択肢を示してくれたのが今回のリクさんです。
リクさんはBYU(ブリガムヤング大学)の4年生で、サイバーセキュリティを専攻しています。2026年の夏には、Bloombergのニューヨーク本社でサイバーセキュリティのインターンをしました。
この記事でわかること
- サイバーセキュリティ専攻で4年間に学ぶこと
- 技術職だけではない、サイバー分野の幅広い職種
- 日本とアメリカでの初任給の目安
- 会計専攻からサイバーセキュリティに変えた理由
- AI時代にサイバーセキュリティを学ぶ価値
動画でもご覧いただけます。
サイバーセキュリティ専攻で学ぶこと
リクさんサイバーセキュリティには、技術的な分野と、コンプライアンス(法令順守)のようなビジネス寄りの分野の、大きく2つがあると思っています。
BYUのサイバーセキュリティ専攻では、大きく3つのステージで学んでいくそうです。
ステージ1:攻撃者の考え方を知る
1年目に最初に取るのは、「アドバーサリー・マインドセット(攻撃者のマインドセット)」というクラスです。
リクさん攻撃者がどんなふうに考えているのかを、心理学的な面や技術的な面から学びます。お金が目的なのか、データを盗んで誰かを陥れたいのか。実際にコーディングをするのではなく、コンセプトを理解してプレゼンテーションをすることが多いのが1年目です。
ステージ2:システムを守る方法を学ぶ
2つ目のステージでは、システムの運用・管理を学び、それをどう守るかという「ブルーチーム(防御側)」の視点で学びます。主なテーマは次の3つです。
- Webアプリケーション:たとえばAWSのサーバーを使って自分でWebサイトをつくり、セキュリティ的に安全な設計を学ぶ
- データベース:データベースが攻撃されやすいポイントや、安全な運用方法を学ぶ
- OS:Windows、macOS、LinuxなどのOSのセキュリティを学ぶ
リクさんここからコーディングのクラスも入ってきます。コンピューターサイエンスに比べればコーディングはずっと少ないんですが、僕はあまり得意ではないので、技術的な力が試される2年目が一番大変でした。
ステージ3:攻撃者の視点で実践する
3つ目のステージでは、攻撃者の視点で実際に手を動かします。代表的なのがペネトレーションテスト(ペンテスト)のクラスです。
リクさんペネトレートは「貫通する」という意味で、実際にシステムに侵入してみることで、セキュリティの穴を見つけるテストのことです。クラスでは攻撃対象が与えられて、どんな穴を見つけ、どう悪用してシステムを乗っ取れたのか、そしてそれをどう直すのかまでレポートにまとめます。4年生になると、授業の一環として自分たちでクライアントを見つけ、実際に診断してレポートを書くこともあります。
攻撃者の考え方を知り、守り方を学び、最後に攻撃者の視点で実践する。この流れで、実務で使えるハードスキルがしっかり身につくそうです。
技術職だけじゃない!サイバーセキュリティの幅広い職種
リクさん「どんな人がサイバーに向いていますか?」とよく聞かれます。でもサイバーは、技術的な分野からそうでない分野まで幅広いので、「この人が向いている」というのはないと思っています。誰でもサイバーで活躍できて、その中でどの分野が合うか、なんです。
たとえば、人と接する仕事がしたい人には、次のような職種もあります。
- セールスエンジニア:技術をしっかり理解したうえで、セキュリティ製品を企業に提案・販売する仕事。CrowdStrikeのようなサイバーセキュリティの有名企業にも、セールスエンジニアの仕事があります
- サイバーセキュリティコンサルタント:企業のセキュリティ対策を支援する仕事。ボストンキャリアフォーラムでも、サイバーコンサルの募集が増えているそうです
留学兄さんケイリクはコミュニケーション能力が高くて、僕の中ではエンジニアというよりビジネスサイドのイメージでした。そういう人がサイバーで活躍できる場があるというのは、僕も今回初めて知りました。「オタクしか行かない分野」ではないんです。
初任給はどれくらい?日本とアメリカで比較
リクさんの経験をもとに、サイバーセキュリティ人材の初任給の目安を聞きました。
*リクさんが見聞きした範囲での目安です。円換算は動画内の金額です。会社や職種、地域によって大きく異なります。
日本:競争率がまだ高くない「穴場」
日本の場合、ボストンキャリアフォーラムでは、ソフトバンク、ソニー、野村證券などがセキュリティエンジニアを募集しているのを見かけるそうです。サイバーセキュリティを学んでいる学生はまだ少なく、競争率もそれほど高く感じないといいます。
リクさんあるBig4の会社では、ボストンキャリアフォーラムのウォークイン(事前予約なしの応募)に約2,000人が来た中で、2人しか採用しなかったそうです。実はその2人とも、サイバーセキュリティ専攻だったと聞きました。企業もサイバーの人材をすごく求めていると思います。
ボストンキャリアフォーラムについては就職活動は留学中でもできますか?で紹介しています。
アメリカ:上下の差が大きいが、夢がある
リクさんアメリカは本当に上下の差が大きいです。僕は4年生なので、周りの学生がどんどん内定をもらっていて、オファーの内容も聞かせてもらうんですが、これまで聞いた中では、みんな最低でも1,700万円(11万ドル)以上のオファーをもらっています。
リクさん自身は、インターンをした2社から「卒業後に戻ってきていい」と言われており、アメリカでの就職を目指しています。
リクさんサイバーの最前線はアメリカですし、留学で学んできた英語力を生かすなら、アメリカで働きたいと思っています。日本人でサイバーを専攻してアメリカで働く人はあまり見てこなかったんですが、実際にやってみたら2社から声がかかっているので、十分可能だと思います。
留学兄さんケイ日本ではサイバーセキュリティの人材自体が少ないのに、そこに英語力まである。かなり希少価値の高い人材になれるということですね。
会計専攻に落ちて、サイバーセキュリティに出会った
実はリクさん、もともとは会計を学ぶためにBYUに来たそうです。BYUは会計学で全米トップクラスとして知られています。
ところがBYUには、誰でも入れる「オープンメジャー」と、選考がある「クローズドメジャー」があり、会計学はクローズドメジャーです。1年目に会計を勉強してみたもののうまくいかず、会計学部の選考に落ちてしまいました。
リクさん受かっていたら、たぶん会計に進んでいたと思います。でも今振り返ると、会計よりサイバーのほうが自分に合っていたので、あそこで落ちて、いい意味で強制的に進路を変えられてよかったと思います。
別の選択肢を探していたとき、サイバーセキュリティを専攻している友人たちから、BYUのサイバーセキュリティ専攻の評価が高いことや、彼らが実際にアメリカで仕事をもらっていることを聞き、挑戦を決めたそうです。今では、リクさんの影響でサイバーセキュリティに興味を持つ日本人学生も増えています。
BYUで学べるほかの専攻についてはBYUで学べること|180以上の専攻一覧と就職に強い学部をご覧ください。
AI時代にこそ、サイバーセキュリティを学ぶ価値がある
「AIがあるのに、大学で学ぶ価値はあるの?」と考える人もいるかもしれません。でもリクさんは、サイバーセキュリティこそ大学で学ぶ価値があると話します。
リクさんAIに話しかけるだけでコードを書いてもらう「バイブコーディング」のように、コーディングのスキルがなくても仕事ができる時代になってきました。でも、AIを使っている人がみんな口をそろえて言うのが、「セキュリティがわからない」ということなんです。だから、サイバーを学ぶことはAI時代とすごく相性がいいと思います。
さらに、サイバーセキュリティを学んだからといって、サイバーの仕事をしなければいけないわけではありません。
リクさん僕はサイバーを専攻しながら、ビジネスサイドのインターンもいろいろしてきました。そのときも、サイバーの学生だというのはすごく評価されるんです。企業はサイバー攻撃を心配しているのに、サイバー人材は少ない。学生で少しでもサイバーがわかっているというのは、それだけで大きなアピールポイントになります。
まとめ
- サイバーセキュリティ専攻では、攻撃者の考え方→守り方→攻撃者の視点での実践、という流れで実務的なスキルを身につける
- 技術職だけでなく、セールスエンジニアやコンサルタントなど、コミュニケーション力を生かせる職種もある
- 日本では年収600万〜800万円、アメリカでは1年目から約1,700万円(11万ドル)以上のオファーも
- 人材が少ないため、日本でもアメリカでも需要が高い分野
- AI時代だからこそセキュリティの知識が求められ、サイバー以外の仕事でも強みになる
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